ブロンプトンで北おおいたを周遊:メイプル耶馬渓サイクリングロードなど
ブロンプトンで大分に行ってきました。飛行機輪行はブロンプトンが安心です。ブロンプトンだから、走行距離は割り切って一日数十キロにとどめ、ゆっくりポタリング気分でツーリングできます。ゆっくり起きて、ゆっくり寄り道して、余裕をもって宿に着くのです。
飛行機輪行は、ブロンプトンと決めています。ロードバイクでうまくやっておられる方も多いですが、万が一の破損を考えると、頑丈なマシンがいいと思います。収納もめんどくさくないし。
いまはコロナ禍で空港バスが極端に少なくなっているので、電車で羽田空港に向かうことにしました。バスなら、バス停の前で折り畳み、空港に着いたらすぐ台車に載せられるのですが、電車輪行だとホームや階段を担いでいかなければならず、かなりつらくなります。輪行で一番大変なのは「担ぎ」ですね。
1日目 北九州空港から中津へ
北九州空港はガラス張りのひっそりした空港で、連絡バスが数台発車したあとはガランとしてしまった。自転車を組みたて、水を買い、すぐ連絡橋に向かいます。
これは見事な海上橋です。2キロ以上あります。これほど長い橋を自転車で渡る機会はあまりありません。去年の宮古島以来か。誰もいない歩道をゆっくり渡ります。車道をロードバイクで快走してるひとがいたけど、なにかあって海に落ちたら助けてもらえないかも。
九州本土に着いたらトヨタの巨大な工場を抜けて、国道10号線まですぐです。JR沿いに旧道を南下することにしました。あまりランチできそうなところがなくて、途中のローソンでカレーパンを食べたあと、中津まで30km幹線国道を走るのは嫌なので行橋駅から輪行することにしました。
地図を見ると三毛門駅から中津へ旧道があるみたいだったので、無人の三毛門駅で下車。カボチャが日本で初めて栽培された土地とのこと。
趣のある旧道を進み、中津川を渡るとすぐ中津城です。
時間があるので街並みをぐるぐる回って、4時過ぎに中津駅前のホテルに。
からあげが名物らしいんですが、テイクアウト主体のようです。ホテルから徒歩数分の店で買ってホテルに持ち帰ってみたら、柔らかくて美味しい。とても美味しいからあげでした。
それにしても中津駅前は空き地だらけで、人も歩いてなくて、ちょっと寂しかったなあ。
2日目 中津から日田へ
今日はこの旅の主目的、メイプル耶馬渓サイクリングロードを走ります。耶馬渓鉄道は中津駅から県道沿いの歩道になっているようなのだけど、歩道を走るよりもいいかってことで、途中まで旧日田往還を走っていきます。メイプル耶馬渓サイクリングロードは山国という集落で終わるのですが、そこから車の少ない県道の峠道を越えれば、日田の中心部まで簡単にアクセスできます。
中津からは、指定のサイクリングロードではなく、南に向かって県道110を進みます。突き当りの山国川に出たら標識があって、いわく、この付近は律令時代の水田区割りが残る珍しい地域だとのこと。県道655や国道10が直線状なのは、これらが旧官道だからのようです。江戸時代の街道をたどっていて、平安時代の空気にも触れてきたのでした。
途中の臼木集落でメイプル耶馬渓サイクリングロードと交差しますので、右にそれてそこからサイクリングロードを走ります。
私のほかにはひともいなくて、落ち葉も多くて、トンネルが続くあたりなどは薄暗くて怖いくらいです。サイクリングロードの路面には枝がたくさん落ちていて、ほとんど利用者がいないことをうかがわせます。ブロンプトンの太目のタイヤですから安心ですが、ロードバイクだとちょっと辛いかもしれません。
ちょっとだけ国道と合流し、右手の樋田という古い集落を抜けると目についたのが非常に立派な石の橋です。
耶馬渓橋。さすが九州ですね、これほど立派な橋は本州ではほとんど見たことがありません。行ったり来たりして写真をたくさん撮ります。
そこから信号を超えるとすぐ青の洞門です。前回来た時も思ったけど、対岸は平地なので、右岸にわざわざトンネルを掘る必要があったのだろうか、と感じます。。。
まだ観光客がいない耶馬渓、午前中は日陰になってしまうのですね。お店もやってないし、サイクリングロードをそれて近くの羅漢寺に寄ってみることにします。
しかし羅漢寺、せっかくですが案内図を見ると道が険しそうなので時間がかかりそう。日田往還が主目的のライドなので、今回はあきらめます。
国道500号線で「道の駅耶馬トピア」に寄って、饅頭をいただきます!そのあとソフトクリームを所望したら、まだやってないとのご返事。残念です。
メイプル耶馬渓サイクリングロードに戻るために山国川を渡ったら、上流に風情のある石橋を発見。さっそくアタック。
ひっそりとした羅漢寺橋に見とれてしまいます。こんな石橋がたくさんあったらなかなかサイクリングが進みませんが、今日は50キロしか走らないので、いくらでも観光できるんです。
でも、いい加減がちょうどいい。ありがとうございます。
メイプル耶馬渓サイクリングロードの廃線跡は、日田往還の国道212号線の対岸を走るようで、のんびりした山村気分です。途中の平田で駅跡や石橋を見たりしながら、ポタリングを楽しみます。
途中でトンネルを出たら突然の橋で山国川を渡ります。ここが有名な撮影ポイントですね。3年前のアドリアサイクリングロードのイタリア区間に似ています。
渓谷を見ながら橋を渡るとサイクリングターミナル。ここがメープル耶馬渓サイクリングロードの拠点なのですね。ちょっとお手洗いを拝借して、私は先に進みます。ブロンプトンでもビギナーよりはグイグイ進んじゃいますので。
「道の駅やまくに」でランチしようと思っていたのですが、サイクリングロードの対岸なんですね、ちょっと迷いながらたどり着き、また「からあげ」をいただくことにしました。
道の駅を過ぎたらすぐ山国、つまり耶馬渓サイクリングロードの終点です。鉄道の終点だっただけあって、盆地の集落としては大きめだけど、ひっそりとして時の流れを感じさえるたたずまいです。
ここでサイクリングロードを終えて、日田往還を進むことになります。日田往還は日田に続く車の多い国道212号ではなくて、すぐ近くから分岐する大分県道720号線になるようです。
720号に入ったらなかなか気合のある坂ですが、石積みの美しい集落を抜けながらゆっくり進みます。途中で日田市に入りますが、それでも登り続けます。山の中なのに田んぼが見えてきて、その田んぼが広くなったあたりが平らなんですが、いつの間にか傾斜がマイナスになっています。かなり平たい峠なんですね。伏木峠。標識も何もない平地でした。
伏木を過ぎたら県道は山道に戻って急斜面を下っていきます。途中で製材所をいくつも見つけました。天領日田の日田杉なんですね。旅情を感じます。
日田街道は県道が終了したあとも細い市道となって延々と続きます。大分自動車道をくぐり、国道バイパスを渡ると桝形が出てきて、江戸の街っぽさを感じながら花月川に出ます。対岸が日田の有名な豆田町の街並みです。
建物が美しい草野本店は残念ながら改修中でしたが、美しい町並みをポタポタしながら、薫長酒造でアイスを食べました。
日田駅から亀山公園を経て三隅川の中州を渡って、かんぽの宿日田へ泊ります。今日の走行は67km。温泉に入ったあと、美味しいアユ、日田牛しゃぶしゃぶと栗ご飯でゆっくりしました。
3日目 豊後森から宇佐へ
宿で湯豆腐を食べて出発。
すぐ近くにある寝台列車の展示に気づかず、日田駅に直行しました。
日田駅からは九州横断特急に乗り30分で豊後森へ。わずか25キロだがブロンプトンで国道のトレーラーと競いたくないですしね。途中の天ヶ瀬駅前では天ヶ瀬ストアの店員さんたちが手を振ってくれましたが、恥ずかしくて返せなかった。でもありがとうございます。
豊後森駅、以前来たときよりキレイになっていましたが、ひとがいなくて寂しいです(まだ朝だから)。
以前、駅裏も見かけた豊後森機関区が保存地区になっているので、訪問していました。以前よりガラスが割れていましたが、キレイな蒸気機関車と案内所が増えていて、訪ねるにはよくなっています。
さて今日は国道387号で宇佐に向かいます。
大分自動車道の下にある「道の駅童話の里くす」でアイスを食べ、あんぱんを買います。いまウィキペディアをみたら、「施設横には、陸上自衛隊玖珠駐屯地から日出生台演習場間を結ぶ、コンクリート舗装された公道があり、地元では戦車道と呼ばれている。アスファルト舗装では戦車のキャタピラによって舗装が傷むので、コンクリート舗装されている。道の駅や玖珠町のホームページ等で走行予定日が予告されており、戦車などの自衛隊車両を見学することができる。」ですって。」
ここからの国道がどんな道なのかわかりません。広いのか、トラック多いのか、坂はキツイのか。。
とりあえず出発すると、国道がとつぜん風情のある集落を通ります。森藩の城下町なんですね。。
国道に出たらすぐ森川沿いの旧道を見つけました。これをたどったら「清水瀑園」とあり瀧があるようなので行ってみましたが、森のなかを10分以上歩かされたあげく、「行き止まり」があって、戻ります。なんだか無意味な時間でした。残念。
そこからちょっと激しい坂を登ると国道387に合流です。
国道の傾斜は緩く、七福神のあたりが峠のようです。
つまり今日のピークはもう終わり。日出生川・温見川・恵良川・駅舘川沿いにくだっていきます。西椎屋の滝という看板がありましたが、さっきの滝で懲りたので通過します。でも今調べたら「落差86メートルで西日本一の名瀑」だそうですよ。通過してがっかりしました。
下り坂の途中で「宇佐のマチュピチュ展望所」というのに通りかりました。
高台に昇って振り返ると、まさにマチュピチュにしか見えないですね。。。
坂をくだって平野部に差し掛かると「USAバーガー」ののぼりがたくさん。ピットインしますが、普通の農家さんがハンバーガーやってるんです。
美味しく東京なら2倍の値段が取れるおいしさでした。
ここから下るといくつかの石橋を目にします。日本の石橋の4割が大分県にあるそうですよ。
鷹岩橋、富士見橋、、車の列に並んで高速で走っていたのでつい通過してしまいました。荒瀬橋は、とても高い橋でした。どの石橋もとても美しく、今回の旅目的を石橋めぐりにしてもよかったかなぁと思いました。
この先、地図で見かけた「王さまのぶどう」というソフトクリームが気になったので、387からそれて、東側から攻めてみます。昨日羅漢寺で走った国道500号を東に向かい、深見川を渡って左に近道してみたら、「鯰絵」で有名な集落のようです。安心院というところ。民家や商家に見事な鯰絵があちこちに書いてあって、それがきれいに残されていて、とても満たされた気分になりました。
その先、ブドウ農園の標識をみて間違えて急な山道を頑張って登ってしまったのですが、お目当てのソフトクリーム店は全く別のようおう。気を取り直して県道42を進んだら、すぐのところにソフトクリームがありました。
美味い。納得の味です。
「王さまのぶどう」から山道を下っていったら、鳥居橋というこれまた立派な橋。国道だけ攻めていたら見どころを通過してしまうから惜しいですね。
国道10号を右折すると北宇佐の交差点。ここは、宇佐神宮の「西参道」の分岐点で、宇佐神宮まで直進する古い道が伸びています。昨日、中津で古代の官道を見ましたが、国道10号や補完する県道が直線状なのは、古代官道のなごりなのかもしれませんね。
久しぶりの宇佐神宮は、コロナ禍ですいていました。
今日は宇佐駅そばの温泉宿に泊まります。
走行距離は59キロ。観光しながら慌てない旅、とても心地よいです。
誰もお客さんがおらず、貸し切りの温泉に入って、「大分牛」のすき焼きと「関アジ」を頼みました。アジは巨大で、3人前はありました。おなかいっぱいです。
4日目 ブロンプトンで国東半島
豊後高田、30年前に来たときは「平凡な」街並みだったので全く気に留めず通り過ぎた街です。全く記憶がありません。しかし今回きてみたら、懐かしい景色に驚きました。
復元された昭和の博物館もあるのですが、商店街が「現役」で、とても魅力的です。観光客向けに作られた街ではなくて、一般の商店街なのがいいのです。今日は観光客もおらず、なおさら自然な感じがしました。
https://www.showanomachi.com/special/syotengai.html
国東半島で最も有名なのは、富貴寺です。国宝建築で有名なのですが、なかなか国東半島に来る機会がありませんでした。長年の念願の参拝です。
国東半島は、火山です。丘陵地と谷が放射線状に海岸に向かって伸びていきます。富貴寺への参道も、火山が形成した美しい谷間を登っていくのですが、かなり路面が荒れています。タイヤの太いブロンプトンでよかったです。蕗川に沿って細い谷をつたっていくと、坂が急になる前に富貴寺です。この先に店があるとは思えないので、門前の昭和な土産屋で蕎麦を食べておきます。
短い階段を登って山門をくぐると、そこはすぐ国宝の富貴寺大堂です。宇治平等院鳳凰堂、平泉中尊寺金色堂と合わせて、日本3大阿弥陀堂と呼ばれています。宝形造の美しい造形に見惚れてしまいます。よく見ると、当初の彩色がうっすらと窺い知れます。
富貴寺からは両子寺を目指します。南の県道34でぐるりと遠回りした方が坂が楽そうなんですが、飛行機の時間まであるので、ゆっくり坂を上ってみることにします。
県道665を登り、いったんくだり、県道29に出ます。並石ダムを過ぎると、集落の中の13%の坂を直登します。ブロンプトンで荷物をたくさん抱えた身にはつらいです。
重い。つらい。でも、どこでも走れるぞブロンプトン。脚を着かずに頂上まで登り切りました。地蔵トンネルを2つくぐると、道は急な下り坂に。せっかく稼いだ標高は急に損なわれます。残念です。複雑な交差点を左折すると、両子寺はすぐでした。
ポスターで見かけた仁王像は、駐車場より下にあったので、観光客が少ないです。深い森が印象深くて情緒があります。
ここは山頂に近いので、どちらに進んでも海まで下りです。飛行機になる前に道の駅あたりで温泉に入りたいので、県道29号で東に向かうと、途中から長閑な水田地帯に出ました。この長閑な雰囲気はいい!その真ん中に弥生遺跡があったので寄っていきます。
そこからすぐ海に出ると、国道よりも海側に伸びるサイクリングロードを見つけたので、海岸沿いに道の駅まで進みます。結構整備されているサイクリングロードでした。「くにさきサイクリングロード」と呼ぶみたいです。
https://www.city.kunisaki.oita.jp/soshiki/kanko/kunisakicycle.html
南下して、サイクリングターミナルの在る道の駅くにさきでは、珍しい太刀魚丼を食べました。今回の旅は郷土料理に恵まれてよかったなぁ。
道の駅から大分空港までの間に温泉がいくつかあったのですが、日帰り入浴をやっている気配がなく、空港まで着いてしまいました。空港手前のコンビニでアイスを食べ、空港前の土産屋でソフトクリームを食べてから、空港でまたソフトクリームを食べました。
国東半島は激坂だったけど、今日も楽しくツーリングを終えることができました。59km。
空港の奥に見つけた足湯に入って、夕飯に弁当を買って、今回の旅はおしまい。
海上の橋、耶馬溪サイクリングロード、国東半島などなど、ずっと訪ねたかったいろんな土地と、たまたま通りがかって出逢えた素敵な街並みや石橋。楽しかった。これにつきますね。